息子が生まれて、まもなく2ヶ月。
日々の生活があまりに激変しすぎて、時々、息子のいない違うところからワープしてここに辿り着いたような気になる。世界も時間も分娩台に上る前と後で確実に繋がっているのに。
不思議なことに、小さな小さな息子を抱きながら、ワープする前の「息子のいない世界」を思うと、なぜか、新婚時代や独身時代の自分ではなくて、息子が独り立ちをした後の未来の姿がぼんやりと浮かぶ。
小さな小さな息子が大きく成長して、家を出ていき、私は50代も終わる頃の夫とふたり。
息子の小さかった頃の話をしながら「もう1度彼に会いたい」と願った未来の私が、いまここにワープしてきたような感覚に陥る。なんだろう、この感覚。
こんなことを思うのは、いま里帰りをして、小さい頃の私の話を両親から聞きながら暮らしているからなのかな。
いつかまた、ふと気づけば息子のいない世界に自分が戻ってしまうような気がして、
この一瞬一瞬を忘れまいと、もしかしたら今日が最後かもしれないと思いながら、毎日を抱きしめている。