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絵本と育児

つぶやき子育て

1歳5ヶ月を迎える息子、絵本が大好き。

「1番好きなおもちゃ」は、絵本。

朝起きたら絵本、昼寝から起きても絵本、夜寝る前にも絵本。

友達の出産祝いに絵本を選んだら「エマの選ぶ絵本なら間違いないと思う」と喜んでもらえて、私が考える「絵本と育児」について唐突にまとめたい衝動に駆られたので、書く。

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私と本の関わり

幼少期から本に親しみ、「物語」が大好き。
小学生の頃は、自転車を走らせて、閉館10分前のギリギリでも図書館に駆け込んでは、本を借りていた。
小学1年生の終わりに発行された学年文集の将来の夢欄には、「さっか」と書いた。

先生は何を勘違いしたのか、勝手に横棒を1本足して「さっかー」にした。

今思うと先生のその対応はどうなのよと笑えるが、当時の私は、「印刷しますから、間違いがないか最後に確認してくださいね」という段階で、自分の関心から最も遠い位置くらいにある「さっかー」が将来の夢になっていて驚愕した。
「サッカーじゃない、ものがたりを書く人のこと」と先生に抗議したら、えらく驚かれたこともよく覚えている。たぶん、「さっか」という単語のチョイスは1年生らしくなかったのだろう。

おしゃまな私は「先生、将来の夢に『さっかー』は変だよ。『サッカー選手』でしょう」と言って校正もした。先生は私に「そうだよね」と返した。今の私は作家にはなっていないけれど、モノをカキカキはあの頃からの夢であり趣味であり今は仕事でもあり、たぶんライフワークなのである。

本の中でも「物語」が特に好きなのは、月並みな理由だけれど、物語の登場人物たちの人生や言葉が、私が悩み立ち止まった時の道標になってくれたから。

生き方。心持ち。選択。責任。仲直り。別離。困難に立ち向かう力と、正しく逃げる方法。エトセトラ

今、小さくて柔くてふわふわな息子を抱きながらページをめくっていると、物語が過去の私を創り上げてくれたのと同じように、日々わけのわからないことでいっぱいな子育てを、絵本が導いてくれていると確かに感じる。

絵本に出てくる動物を知らない息子

1年と少し前のある日、私は『だれのなきごえかな?』(ディック・ブルーナ 文・絵 / まつおか きょうこ 訳)を生後3ヶ月の息子に読み聞かせながら、当たり前のことに気づいて衝撃を受ける。

『だれのなきごえかな?』

「こっこっこっ」と鳴くのは、だあれ?答えは、めんどりさん。じゃあ、「こけっこっこー」は、だあれ?答えは、おんどりさん。めえぇぇ~と鳴くのはひつじさんで、ぷくぷくいうのは魚さん。ほかにも、うしやいぬ、ねこ、ねずみなどなど、幼い子どもにとって身近な動物たちが続々現れ、ユニークで楽しい鳴き声を披露してくれます。シンプルではっきりとした輪郭の絵と、耳に心地よい擬音語が楽しい赤ちゃん絵本です。

福音館書店 https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=1464

息子は、めんどりを知らない。おんどりも知らない。魚も、牛も、犬も、猫も、見たことがない。
もちろん、日常生活を送っていればいつかは出会うことになるだろうけれど、私(と夫)が見せてあげる機会を作らないと、この小さな息子は、知ることがないまま大きくなっていく。
雌鳥が歩く姿や、雄鶏の泣き声、動物たちの臭いも、今の彼の引き出しの中にはないのだ。と気づいて、雷に打たれたような気分だった。
そして私の頭の中にあるものは、私が知るだけの狭い範囲のものもので構成されていると分かっていた「つもり」になっていたことを、初めて実感した。

絵本が私を母にしてくれる

この時から、絵本に登場した新しいものに出会わせる機会をつくることが、私の育児の指針になった。

犬や猫は街中でも出会えるけど、ライオンは動物園に行こう。大きいね。像さんはもっと大きいし、キリンさんは首が長いね。
うさぎさんがにんじん食べているね。○○くんも皮を剥いてトントンして潰したら、食べれるんだよ。台所にあるから触りに行こうか。むきむきするから見ていてね。
ホットケーキが美味しそうだね。一緒につくってみようか。ぽたあん、どろどろ、ぴちぴちぴち…。
朝起きた時のご挨拶は「おはよう」だよ。ほら、こっちのページの絵は窓の外が明るいから、朝だ。こっちは夜だね、「おやすみなさい」しているよ。
お腹が痛くて泣きました…は、えーんえーんって泣いているお顔だね。痛い時は、えーんえーんだね。

美しい色、柔らかい言葉、人物や動物の表情、様々な風景。

私の育児の相談相手は、絵本になった。
正解がない子育てに自信が持てない毎日が続く中で、絵本を読めば、絵本が私を「母」にしてくれる気がした。

絵本は私よりずっと多くのことを知っている。

絵本を通してたくさんのものを見せてあげたい。

絵本で出会ったものたちが動くところを見せてあげたい。

聞いたり、触ったり、匂いをかいだりして、人生には素晴らしいものがたくさんあるんだと知って欲しい。

願わくば、私が知っているものよりずっとずっとたくさんのものに。

そして彼が少し大きくなって、大変なことが起きたり困ったり悲しかったりする時に、物語がそれを解決する力になってくれたらいい。若い私に、本がいつも寄り添ってくれたように。

彼の心から手の届く本棚に、たくさんの本が並ぶ日を夢見ながら、今日も絵本のページをめくる。